ポスト真実の羅針盤

「情報疲れ」を感じたら?心を守る情報との距離感と見極め方

Tags: 情報過多, 情報疲れ, デジタルデトックス, 情報判断, 情報リテラシー

情報の洪水に疲れていませんか

私たちは今、かつてないほど多くの情報に囲まれて生活しています。スマートフォンを開けば、瞬時に世界のニュース、友人からの連絡、仕事の通知、趣味に関する情報などが次々と流れ込んできます。SNS、ニュースアプリ、ウェブサイト、動画共有プラットフォームなど、情報を受け取る窓口は多様化し、その量は増え続ける一方です。

このような情報過多の状況は、私たちの生活を豊かにする側面がある一方で、「情報疲れ」や「デジタル疲労」といった新たな負担も生み出しています。常に新しい情報に触れていないと置いていかれるような感覚になったり、膨大な情報の中から何が本当に重要なのか、あるいは何が真実なのかを見極めることに消耗したりしているかもしれません。

特に、ポスト真実と呼ばれる現代においては、意図的な虚偽情報や操作された情報が真実と見分けがつきにくい形で流通することがあります。感情的に訴えかける情報や、自身の考えを強化するような情報に無意識のうちに惹きつけられ、知らず知らずのうちに情報の「偏り」の中に閉じこもってしまうこともあります。

情報疲れがもたらすもの

情報疲れは単に心身の疲労に繋がるだけでなく、情報の見極めにも影響を及ぼす可能性があります。疲労困憊した状態では、冷静な判断力や批判的な思考力が鈍りやすくなります。多くの情報に圧倒され、「もう考えるのはやめよう」という気持ちになり、流れてくる情報をそのまま受け入れてしまったり、逆に特定の情報に対して過度に懐疑的になったりすることもあり得ます。

情報との向き合い方が健全でないと、私たちは真実から遠ざかり、不確かな情報や誤った認識に基づいて判断を下してしまうリスクを高めます。だからこそ、心身の健康を守りながら、情報との「健全な距離感」を見つけ、その上で真実を見極める力を養うことが重要になるのです。

心を守る情報との距離感を見つけるヒント

情報過多の時代でも疲弊せずに、主体的に情報と向き合うためには、いくつかの具体的なステップを踏むことが有効です。

1. 情報源と接触時間の「棚卸し」をする

まず、自分がどのような情報源から、どのくらいの頻度や時間、情報を受け取っているのかを客観的に把握してみましょう。スマートフォンやPCの使用時間追跡機能、SNSの利用時間表示などを活用するのも良い方法です。

自分が情報とどのように接しているのかを理解することで、改善点が見えてきます。

2. 「ノイズ」を減らし、必要な情報に焦点を当てる

情報の中には、自分にとって不要な「ノイズ」が多く含まれています。ノイズを減らす工夫をすることで、本当に必要な情報、価値のある情報に意識を向けやすくなります。

3. デジタルデトックスを取り入れる

意識的にデジタルデバイスから離れる時間を作ることも、情報疲れの軽減に繋がります。

4. 情報の「一次情報」を探求する習慣をつける

疲れている時は、加工された情報や誰かの解釈を通した情報に流されやすくなります。一呼吸おいて、その情報の根拠となる「一次情報」がないかを探してみる習慣をつけましょう。例えば、ニュースであれば、そのニュースの元となった公的機関の発表、研究論文、裁判記録などを探してみるということです。これにより、情報の信頼性をより正確に判断できるようになります。

真実を見極める羅針盤を磨く

情報との健全な距離感を保つことは、情報を避けることではありません。むしろ、心身の負担を減らし、冷静な状態で情報と向き合うための土台作りです。その上で、以前の記事でも触れた「情報源の信頼性を測る視点」や「認知バイアスへの気づき」といった、真実を見極めるための羅針盤を磨いていくことが可能になります。

情報に圧倒されそうになったら、「これは本当に今、自分に必要な情報だろうか」「この情報はどこから来ているのだろうか」と、立ち止まって考える習慣をつけましょう。すべての情報を追いかける必要はありません。自分にとって意味のある情報を選び取り、批判的な視点を忘れずに情報と向き合うことが、情報過多の時代をしなやかに生き抜く鍵となります。

「真実」を探求する旅は、まず自分自身の情報の受け取り方を見直すことから始まります。情報疲れを感じている今こそ、情報との付き合い方を見直す良い機会かもしれません。