ポスト真実の羅針盤

誰かが共有した情報、どう扱う? ポスト真実時代に流されないヒント

Tags: 情報共有, 真偽判断, ポスト真実, 情報リテラシー, メディアリテラシー

日常にあふれる「誰かが共有した情報」

私たちは日々、膨大な情報に触れています。特にSNSを開けば、友人や知人、フォローしているアカウントが共有した情報が次々と流れてきます。気になるニュース記事、心を動かされる体験談、役立つかもしれないノウハウ。それらの多くは、「誰か」を経由して私たちの目に届いています。

「〇〇さんがシェアしていたから」「たくさんの人が『いいね』しているから」。そういった事実が、情報の信頼性を保証しているように感じられる瞬間があるかもしれません。しかし、ポスト真実時代において、共有されている情報すべてが真実であるとは限りません。中には誤った情報や、意図的に加工された情報が含まれていることもあります。

では、私たちはどのようにして、誰かが共有した情報と向き合い、流されずにその真偽を見極めていけば良いのでしょうか。この記事では、そのための視点と実践的なヒントを探求してまいります。

なぜ共有された情報に私たちは流されやすいのか

たくさんの人が共有したり、「いいね」をつけたりしている情報を見ると、私たちは無意識のうちに「これは正しい情報だろう」と感じてしまうことがあります。これは「社会的証明(ソーシャルプルーフ)」と呼ばれる心理効果の一つです。多くの人が支持しているものは、質が高く信頼できるものだと判断しやすくなるのです。

また、現代の情報環境では、共感や感情に訴えかける情報が瞬く間に広がる傾向があります。怒りや悲しみ、喜びといった強い感情を刺激する内容は、論理的な正確さよりも先に、私たちの心に響き、共有したいという行動につながりやすいからです。友人や知人が心を動かされて共有した情報であれば、さらに私たちはその情報に親近感を覚え、真実であるかのように受け止めてしまいがちです。

しかし、感情は真実の羅針盤としては必ずしも正確ではありません。感情的な反応が先立ち、情報の裏付けを確認する冷静な判断が後回しになってしまうことがあるのです。

共有された情報を見極めるための実践的ヒント

では、こうした状況で、共有された情報に流されずにその真偽を判断するためには、具体的にどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。いくつか実践的なヒントをご紹介します。

1. 情報の「出どころ」をさかのぼって確認する

あなたが目にしている情報は、「誰かが共有した」ものかもしれません。しかし、その情報が最初にどこから発信されたのかを常に意識することが重要です。共有した人が情報を作ったわけではなく、元の情報源があるはずです。

2. 情報の「文脈」を把握する

SNSなどで共有される情報は、元の文脈から切り取られていることがよくあります。例えば、長い記事の一部分だけが引用されていたり、過去の出来事が現在の出来事であるかのように共有されたりするケースです。

3. 複数の情報源で「裏付け」を取る

一つの情報源だけを鵜呑みにせず、同じ出来事について複数の情報源から情報を集めることが、真実を見極める上で非常に有効です。

4. 自身の「感情」を意識する

ある情報に触れた時、あなたがどのような感情を抱いたか、意識してみましょう。強い怒り、悲しみ、不安、あるいは喜びや興奮といった感情は、あなたの冷静な判断を曇らせる可能性があります。

まとめ:流されず、しかし孤立しないために

情報共有は、私たちの世界を広げ、多様な視点をもたらしてくれる素晴らしい側面も持っています。誰かが共有した情報すべてを疑う必要はありません。しかし、特に社会的な影響が大きい情報や、あなたの判断や行動に影響を与えそうな情報については、一呼吸おいて立ち止まり、ご紹介したような視点から確認してみる習慣をつけることが、ポスト真実時代を生きる上で私たち自身を守り、自信を持って情報と向き合うための羅針盤となるはずです。

完璧に真実を見抜くことは難しいかもしれません。しかし、少しの意識と確認のステップを踏むことで、情報の波に無闇に流されることなく、主体的に情報との関係を築いていくことができるでしょう。情報過多な状況で不安を感じることもあるかもしれませんが、これらのヒントが、あなたが情報の海を航海する上での一助となれば幸いです。